最近の報道で「関空 新規路線獲得に暗雲 補給金満額は不透明」という見出しが目に付いた。記事によると、関空の発着回数の見通しは、10万7千回で滑走路二本の処理能力の半分以下に落ち込んでいるそうだ。特に国内線の落ち込みが激しく、さらに、日本航空の路線廃止が追い討ちをかけることになる。利子補給金が事業仕分けの対象になっているが、見直されれば着陸料値下げ方針に大きな影響を与え、ますます窮地に追い込まれてしまう。
そして、肝心の民主政権の「空港政策」は、今ひとつ明確ではない。空港整備特会を廃止するだの、羽田をハブ化するだの、思いつきのような発言がなされているが、残念ながら、関西国際空港の将来像については一言も触れられていない。補給金が関空の経営基盤の安定に役立つことは間違いないが、一体いつまでこのままの状態が続くのか。私が仕分け人なら、「中途半端な延命策ではなく、抜本的対策を示せ」と見得を切りたくもなる。
おそらく橋下知事も同じ思いではないだろうか。それゆえ、伊丹廃止、関空リニア、伊丹空港跡地に新しいまちづくりを、と矢継ぎ早にマスコミ向けに発信をされている。想像するに、これまでタブー視されてきた「伊丹廃港」を言葉にし、活字にし、国にぶつけることで、潮目を変える議論を呼び起こそうとされているのだろう。
その気持ちは十分理解できる。そもそも関西国際空港は、大阪・関西が一丸となって取り組んできた一大プロジェクトである。国家的課題であるはずの「国際ハブ空港」の建設に、地元が大きくかかわり、苦肉の策ともいえる株式会社方式をとり、結果として1兆円もの有利子負債を抱え込んでしまった。
当時の大阪府の幹部が、「関空は、必ずや大阪・関西のみならず、日本の国土構造を変革する」とおっしゃっていたことを思い出す。つまり、大阪は、東海道の国土軸にぶら下がって発展してきたが、関空が泉州沖に建設されることで、大阪を核とする西日本の人やモノの流れが生まれ、東京一極集中の国土構造を大きく変えることができるということだ(紀淡海峡や豊予海峡をつなぐ第二国土軸構想もあった)。
現段階では、伊丹空港は「国内線の基幹空港として存続」が規定路線である。しかし、20年先、30年先を見通して大きな決断をしていくのが政治家の役割だ。同時に、地元や関係方面に十分に説明し、粘り強く理解を求めることも政治家の役割だ。橋下知事は、後者はお好きでないようだが、関西の空港政策は、この両方の微妙なバランスの上にあることをお忘れなく。




